がん患者ではない、今までの私に触れてほしい

新聞で、興味深い記事がありました。乳がん患者で看護師、スキルス胃がんで夫を亡くした妻で「希望の会」の理事長、胃がんでがん患者グループ「ゆずり」の代表、そして、医者。この人たちのパネルディスカッションの様子が書かれているものです。

新聞2面に大きく取り上げられていて、最初から最後まで頷くことが多かったのですが、今日は、抗がん剤の副作用について書いてみたいと思います。副作用はたくさんあるのですが、その中でも脱毛と吐き気についてみていきます。

 

がんと言えば抗がん剤と思い込んでいる人がいる

がんの種類により、治療法が全く違います。抗がん剤治療をしない人もいるということです。ここで強調したいのは、抗がん剤は良くない!抗がん剤なんて投与したら死ぬ!という思い込みをしてほしくないということです。

今は、優れた抗がん剤がたくさん生まれているようです。

 

だれもが脱毛したくない

脱毛したくない!だれもがそう思うはずです。効果は弱いけど、脱毛しない投与の仕方もあるようです。私の場合はそんな選択もなく、「命を優先しましょう」でした。当時は、こんな経験もネタになる、ぐらいに思っていました。

徐々に抜けていくわけです。枕に毛がたくさん落ちている、そんなことから始まります。なんと私、面倒臭いから、抜け始めてからすぐに自分の手で引っこ抜きました。だって、落ち武者みたいなの嫌だったし。そして、ウイッグ屋さんで、残った毛を1㎝ぐらいまで切ってもらいました。潔いな~って言われました。

ボーズもけっこう似合う、いや、すごく似合う。一部の人には言われていました。
(ほんの一部の人だけ、私のボーズを知っています 笑)

でも、嬉しいわけないよね。本当は、ボーズになるなんて、すごく嫌でした。

だって、こーんなに長い髪の毛でしたから(抗がん剤の直前)

女の人にとって、抗がん剤治療は可哀想ということも聞きますが、男性のみなさん、どうでしょう。どんなにオシャレとは遠い人でも、あるものがなくなるって、髪の毛がなくなるって、嫌じゃないですか?

男性にとっても大問題のはずです。

入院したとき、私の病室は乳がん患者だらけなのに、同じ病棟に男性がいました。どこのがんだかは分かりませんが、ウイッグがお気に召さない様子で、カタログを手に、女性用のウイッグをカットしてもらった方がいいのかな~と言っていたのです。
おじさん?おじいさん?ぐらいの年齢の人です。男性にとっても大問題の脱毛。将来的に、脱毛という副作用がなくてもよく効く抗がん剤が生まれるといいですよね。

外見が変っていくことは辛かったのですが、プラスのこともたくさん分かってきました。
脱毛ということは、体の毛が全部抜けます。だから、手足などムダ毛の処理の必要がなくなります。もちろん、顔の毛もなくなるので、肌がツルツルになりました。半年ぐらい、脱毛処理をしなくてすみました。

それでも乾燥との戦いになってきます。そんなときに友達からもらった美容液に、カルチャーショックを受けます。本当に綺麗なお顔になりました。その美容液は今でも続けています。

もちろん、眉毛も抜けます。みなさん、眉毛を書いてますよね。それって、毛のあるところだから書けるんです。毛なくなったところには書けません。眉毛のあった場所さえわからなくなります。そんなときに、がん友から教えてもらったのが、オルビスというメーカーのペンシル。これならバッチリかけます。1000円ぐらいかな。

苦労したのはまつ毛ですかね。元々まつ毛が長いので、一度もツケマをしたことがなく付け方も分からず困りました。大事なときには、プロの人にメイクをしてもらっていました。やはり、プロは違います。がん患者でも美しくしてくれます。大事な場面のときにはプロにお願いする。それが一番です。

 

抗がん剤による吐き気

もちろん個人差はあります。

私の場合、ドラマで見るような、オエーっ!という吐き気はありませんでした。抗がん剤の点滴の前に、吐き気止めというのを飲みます。その薬が効く時間は、飲んでから40分後。ちょうど40分後から抗がん剤投与をスタートします。さらに、最初の30分は吐き気止めを投与します。その後に抗がん剤です。

徹底して吐き気を止めてくれる、そんな印象でした。

生活でも、たまに、ちょっと胃がムカムカするときありますよね。そのくらいです。そのときに、化粧ポーチに入れている処方された吐き気止めを飲んでしまえばすぐに治ります。

 

診断されたときから「がん患者」になってしまうことが
一番辛い

このことは、私もよく書いていましたが、新聞記事にも書かれていたので、おそらくがん患者の共通の思いです。

外見が変わることは、本当に辛いことではあります。でも、一番してほしいことは、患者ではない、今までの自分に触れてほしいということです。変わらず接してほしいということです。

がん患者は、がんになっただけで、今までと何も変わらないからです。周りが変っていくことが一番辛いのです。それでも体調は、副作用などによりどんどん変わっていきます。

がんとは、とてもわがままな病気なのかもしれませんね。でも、がんの人は、わがままでいいのかもしれません。これからも私は、わがままに生きていきます。

 

 

 

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